さか剥け
「痛っ」
急に声をあげる立夏に、机に向かっていた清明が振り返る。
「立夏、どうした?」
「なんでもない。大丈夫」
ティッシュで指を押さえる立夏に近寄り、その手を取って見る。
爪の横の皮膚の皮がめくれて血が出ている。
「ちょっ…!」
傷を見ると清明は血が出ている指を口に含んだ。
立夏はかぁっと頬を赤らめ、ミミを寝かせる。
「だ、大丈夫だって…」
ちゅっと音を立てて指を離す清明に、立夏は寝かせたミミをぷるぷると震わせる。
「さか剥けは引っ張っちゃダメだよ」
救急箱を持って来て、消毒液を出しながら清明が言う。
清明の部屋にはいつも立夏が母親から暴力を受けた時に手当てをするため、救急箱が置いてあるのだ。
「取れると思って…つい、ビッとやっちゃって…」
立夏の手を取って、清明は手早く立夏の指先の傷を消毒して絆創膏を巻く。
「今度からは、引っ張らないでハサミか爪きりで切るんだよ」
そう言って清明は立夏の頭を撫でた。
大きな手に頭を撫でられるのが気持ちよくて、立夏はぱたぱたとしっぽを振る。
「でもさ、消毒するなら…舐める必要、なかったんじゃないか…?」
「そうかもね」
「?」
あっさりと答える兄に立夏は首を傾げる。
でも――。
(まぁいいか)

〜END〜

単に血を舐めさせたかっただけでした☆
つい先日、自分でビッとやっちゃいましてね…
わかってるのに、ついやっちゃって血を見てしまう
そんなのわたしだけですか?
あまり意味のない小噺ですな(笑)
初出:拍手お礼
再録:2006.8.4 UP

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