ラブラブタイム
勤労学生のキオはバイトと課題に追われ、気づけばレポート提出の期限が迫っていることに気づいた。
草灯はちょうどいい資料が手元にあったので、もう提出したと話していたことを思い出し、キオは草灯にレポートの資料を借りに行く。
連絡なしで来てしまったが、家にいなければ電話すればいいだろうという考えだった。


…が、草灯の家に続く階段を上っりきったところで、キオはノックする寸前で来訪を知らせることなく困り果てていた。

「気持ちいい?」
「ん…」

(ナニコレ?どーゆーこと?)

中からは部屋の主である草灯と、立夏の声。
一体何をしているんだろう?
気になるけど知るのが怖いような…。
キオは中から聞こえてくる会話に自分の口を手で押さえ、しゃがみこむ。

「ほら、すごい…こんなに…」
「やめろよ…汚い」
「こんなになる前に言えばいくらでもしてあげるのに」
「だって…っ痛…」
「ごめん、痛かった?」
「もっと丁寧にしてよ」
「わかったよ。優しく、ね」
「あ…っ」
「感じるの?」
「違……」
「ほら、じっとして」

アヤシイ会話。
(これって…もしかして?)
でもまさか?
しかし「まさか!」だ。
キオは中が見えるわけでもないのに目を逸らすように、ドアに背を向け、ちらちらと背後のドアを気にする。

「ほら、動いちゃダメだよ」
「あ…もうちょっと…」
「ここ?」
「ん…」

キオはぎゅっとバックを抱える。
どうしよう?
これは嫁として阻止すべきか?
だけど邪魔していいものなのか…。
(どうする?オレ!?)
踏み込むのは簡単だが、今踏み込んだら…。
そこまで考えてキオは待てよ、と思う。

立夏も子供とはいえ男のコだ。
身体的に男女の性徴が現れる年頃でもある。
もしかしたら年上の草灯に何か教わっている最中かも知れない。
自分の性のことで思い悩むのが思春期。
そんな時は身近にいる大人に相談したりするものだが、なかなか親に言えなくて相談出来る身近な大人が草灯しかいないとしたら…。
(しょうがないのかもな)
男子なら誰もが体験することだ。

今踏み込むと立夏に恥をかかせるだろう。
思春期に恥ずかしい思いをすると、トラウマになったりするかも知れない。
そう考えてキオは踏み込むのを思い止まったが、ではいつ入って行けばいいんだろうか?と悩む。

「よかったでしょ?」
「うん…スッキリした」
「立夏、オレにもして」
「えっ…ムリ。出来ない…怖い」
「大丈夫だよ」

(なにーっ!?)
立夏は仕方ないことだとしても、その逆となると話が別だ。
キオはいてもたってもいられず、立ち上がってドアを勢いよく開ける。
「草ちゃん!オレという者がありながら…!」
バァン!とドアを壊さんばかりの勢いで開け、入ったキオも、中にいた立夏と草灯も一瞬ぽかーんとした。

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