kitty tongue
カラカラ…と窓が開いて、床に座りベッドに寄りかかって読書をしていた立夏は、視線を上げる。
「こんばんは」
カーテンから姿を現した長躯に立夏は呆れる。
「おまえ、何度言えばわかるんだ?そこは玄関じゃねぇんだぞ」
「じゃあ普通に玄関から訪ねようか?」
「いい…(母さんが驚く)」

小学生の自分にこんなに大きな大人が訪ねてきたら、母親が驚くだろう。
兄の清明が殺されたことから、時々母親は立夏を外に出ないようにしつこく言うこともある。
そう考えたら、草灯が玄関から訪ねて来ないのは草灯なりに気を遣っているのかも知れないと気づく。

草灯は立夏が座っている目の前に座る。
そして立夏が食べているチョコが目に入る。
床に置かれた箱を手に取り、最近のお菓子のパッケージはデザインが凝っているなと草灯は思いながら、チョコの箱を眺める。
箱には「猫の舌をモチーフにした…」と書かれていて、チョコはよくコンビニなんかでカップのアイスを買うとついてくるヘラを少し捻ったような形をしている。

「猫の舌…なんだかえっちだね」
草灯が言うと立夏は手を止めて、呆れたような視線を向けてくる。
「何言ってんだ。そんなこと考えんの、おまえだけだ」
ワケわからん、と呟いて立夏はチョコを食べる。
小学生の立夏には大人の草灯の考えていることなんて、まったくわからない。
猫の舌のどこらへんがエッチだと思うのか、さっぱりわからないが理由は聞かないでおく。
立夏がくわえたチョコの端を草灯がくわえる。
「!!?」
驚いた立夏が離れるよりも早く、草灯は細い腰に腕を回し、後頭部を手で押さえる。
「んんっ……」
チョコを口に含んだまま唇を重ね、舌を絡める。
まだ舌の上に残っていたチョコが互いの舌の上で溶けていく。
「ぅ、ん…ん…っ…」
溶けたチョコが口の中に広がり、白い喉がコクンと嚥下する。
唇を離すと立夏の唇からはチョコレートの甘い香りの吐息がもれた。
「っ…何してんだよっ」
しっぽを膨らませて赤くなって抗議する立夏に草灯はにっこりと笑う。
そんな立夏を草灯は抱き寄せると、立夏は逃げようとはしない。
「立夏も仔猫だから猫の舌だよね」
そんなことを言って草灯は猫にするように立夏の顎のあたりを撫でると、くすぐったいのか肩をすくめ、そっぽを向いてしまう。
「猫じゃねぇし」
「オレにとってはかわいい仔猫ちゃんだけどな」
「………」
立夏はあからさまにバカじゃないの?と言いたげな顔をしている。

たしかに立夏はまだ子供だから猫耳付きで、例えるなら仔猫なのだが、そんな風に言う草灯の言い方こそ、よほどエッチな気がする。
というよりも、草灯が言うとなんだかエッチに聞こえるのは気のせいだろうか。
「本当に草灯って信じられねぇ…」
キスしながらチョコを一緒に食べるなんて、初めてのことだ。
チョコと一緒に混ざり合った唾液まで飲み込んでしまったことに気づき、立夏はミミを寝かせて頬を赤くし、口を手で覆う。
だけど、そんなに気持ち悪いと感じない自分をどうかしてると立夏は思う。
「そうかな。普通のことだよ」
「本当かよ…?」
立夏は疑いの眼差しで草灯を見つめる。

キスなんて同じ年のみんなは、きっとしていないだろう。
それなのに、こんなにしょっちゅうキスされて、自分がなんだかすごくエッチな気がして恥ずかしく感じる。
たとえ、草灯の言うとおり普通のことなのだとしても、草灯は大人だから普通でも自分にはまだ早いと思う。

「もっと食べる?」
箱に入ったチョコを草灯が勧めると、立夏は頬を赤くして1つ袋を取り出す。
「食べるけど…。普通に、一人で食べる」
「残念」と草灯はくすっと笑った。

〜END〜

チョコとキスっていう話は何度か書いてたので、どうしようかなーって悩んだ末に、えっちな食べ方をさせてみようとしたんですが…
あんまりえっちにならなかった…
タイトルの「kitty tongue」というのは単語として存在しません
イミは別々に辞書で調べてみると、わかるかと☆
いや、まあ調べるまでもなくそのまんまなんですけどね(笑)
このお話はA様に捧げます〜vv
チョコありがとうございました!(美味しくいただきました)
こ、こんなんなりましたがどうでしょうかっ…!
2006.9.4 UP

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