甘い思い出
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「チョコ貰ったんだ。食べようぜ」
10センチ四方の立夏の手の平に乗る大きさの平たい包みを手に、立夏はしっぽを振りながら草灯が座る目の前に座る。
生真面目な立夏は包装を丁寧に剥がしながら、楽しそうな顔をしている。
「他人から貰ったチョコがそんなに嬉しいの?」
「そういうこと言うなよ。オレと草灯にって貰ったんだよ」
「ふぅん?」
それは一体誰なんだろうと思いながら、草灯は立夏がチョコを食べるのを見る。

「…食べないの?」
モグモグとチョコを食べながら話す立夏の唇から甘い香りがして、草灯はにこっと笑う。
「じゃあ味見しようかな」
そう話す草灯に立夏はチョコの箱を勧めようとすると、顎を持ち上げられる。
「!!?」
しっかりと重ねた唇から甘いチョコの味がした。
「っ何すんだよ!」
唇を解くと頬を赤くした立夏に怒られる。
「味見。立夏の唇、甘いね」
ぺろ、と唇を舐める草灯に立夏は更にかぁっと赤くなる。
「バカじゃねぇの!?(って、チョコだし。甘いのは当たり前だろっ)」
「チョコそのものよりもチョコを食べる立夏のキスの方が好きだな」
「…バカ」
にこにこと笑う「バカ」を立夏は頬を赤くしたまま恥ずかしそうに見る。
だけど、しっぽは少し膨らんでいるが、ゆっくり左右に揺れていて、まんざらでもなさそうだ。
「もういい。おまえにはやらない。オレが全部食べる」
「いいよ」
「……いいよ、って…」
いいよと言いながら草灯はひょいとつまんだチョコを立夏の口元に差し出す。

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