立夏の日
今年の『立夏』の日は5月5日。
「立夏」は四季を分ける24節気のうちのひとつであり、暦の上で初夏を告げる季語。
そして5月5日は子供の日でもある。

「カレンダー見てびっくりしたんだけど、今日の日付のトコに立夏くんの名前が書いてあったよ!」
思い出作りと称する一緒に遊びに行く途中、電車の車内でユイコが、目をキラキラさせて話す。
「うん、オレの名前は季語からきてるから」
「季語?」
きょとんとしてユイコが聞き返してくる。
「春分の日とか冬至とか、季節を表す言葉だよ」
細かく言うともっと違うんだけど、と優等生の弥生が答えると、ユイコが聞いてくる。
「でも立夏くんの誕生日って…」
「オレは12月21日生まれだから、本当なら季語でいけば『冬至』なんだよな。誕生日とはあんまり繋がりないのかも」

立夏の誕生日は12月21日だ。
だけど名前は季語の「立夏」が由来らしい。
正しくは24節気とは一太陽年を太陽の黄経によって二四等分し、太陰太陽暦で季節を正しく示すための用語である。
その分点に節気と中気を交互に配列し、一月節気を立春、一月中気を雨水、八月中気を秋分などと呼ぶ。
「立夏」もその24節気のひとつで夏の始まりの一日目のことを指す。

「関係ない?」
「その日に生まれたからってわけじゃなくて、理由は別みたいだ。兄貴も11月生まれだけど『清明』で『清明は』4月中の季語だし」
不思議そうな顔をしている弥生に立夏は笑って答える。
不思議がるのも無理はない。
立夏も自分と兄の名前が季語からきていることは知らなかった。
立夏自身、名前になっている季語と誕生日とは関連がないと知った時不思議だったので、当然の反応だと思う。
「お兄さんもってことは、何か理由があるのかな?」
「兄貴は知ってるみたいだったけど、オレは知らない。オレは『りつか』で季語のは『りっか』だから、ちょっと違うんだけどな」
「そうなんだ?理由とか意味とか聞いてみたいね」
ユイコに言われて立夏も頷く。
「じゃあ、今日から夏なんだね」
「まだ夏って言うには寒いけど」
ユイコと弥生の会話を聞きながら、立夏は電車の車内に視線を巡らせる。

next≫
≪カウンタ記念menu
小説トップ
HOME
無料ホームページ掲示板